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歌雪の手記四話

2008-02-10 Sun 08:45
長らく更新が停滞していました

歌雪の手記4話 をアップです。

続きからどうぞ。
紅炎の戦士――流麗なる刃――

取材が終わり、日も暮れ夕闇に染まりゆく町並みを私はわずかに足早になりながら帰路についていた。
思いのほか取材に時間をとった。予定外の出来事と言うのは重なるものだ、というのが私の持論だ。ならば、早く帰宅するに越したことは無い。予定外の出来事と言うものにいいものなどまず無いのだから。
町に街灯というものはあまり無い。戦争の最中にクリスタルを動力として消費する街灯は使用に大幅に制限が加えられた。使われているのは王城の前ぐらいである。
結果として町のところどころに小さめのかがり火がおかれているのだが、それもあまり灯りとしての役割を果たしてはくれなかった。同行人がいれば心強いがあいにくと今日は一人である。
夜の闇に半端な灯りをともせば、より濃い闇を生み出す。町のいたるところに生まれる濃い闇は、それとわかるだけで恐怖を煽る。
幸い、何事もなく自宅に帰りついた私は食事を終えると取材の内容のメモを清書することにした。
部屋の明かりは油を使った小さな明かりである。机の上にあるランプは、それでも書き物をする程度の光量を提供してくれた。
机の上においてある羽ペンは長年使い込んだ愛着のある品だ。使い慣れたペンをとり、インクをつけ、書き出そうとしたその瞬間。
ピシッ
と言うはかない音と共に、ペン軸にひびが入った。
「・・・・・・ふぅ、やっぱり・・・」
 取材が予想以上に長引いた時点で、何かあるとは思っていた。まさかこんな形になろうとは・・・。
 このまま無理に使えばろくに字をつづることも出来ずに壊れてしまうだろう。
 私は少し考えた上で、とりあえず寝ることにした。

 翌日、私はエスセティア大陸南部、デスパイア山麓へと足を運んだ。
 海を挟んだ大陸への移動は主にクリスタル動力を用いた転送装置によって行われる。
 この地域に生息するグリフォンの羽が、羽ペンに使うにはもっとも具合がいい。思えば最後にこの地域に足を運んだのはかなり昔の話だ。
 感慨にふけるつもりも、過去をうらやましく思うつもりも無いが、過去の思い出と言うものは否応なしに湧き上がってくるものだからタチが悪い。それがいいものであろうと無かろうと・・・。
 ともあれ、短剣を片手に意識を集中し、気配を消す。
 スカウトのもっとも基本技能であるそれを使うのは、何年ぶりだろうか・・・。
 このままの状態で適当に散策しながら、グリフォンから抜け落ちた羽を拾ってくればいい。そのはずだった。
 季節が悪いのかそれとも私に運が無いのか、抜け落ちた羽はほとんど見つからなかった。偶に見つかる羽も、長い間風雨に晒されていたのかとても羽ペンに使えるような状態ではなかった。
 ここまで来て手ぶらで帰るという考えは無かった。探している場所が悪いのではないかと思い、少し険しくなる山道を進んでいく、やはり見当たらないままにさらに踏み込もうとした矢先、足を踏み外した。
 昔ならば決してすることの無かったミス、それでも昔取った杵柄よろしく、転落と言う自体は避けた。重心を調節し着地には問題なく成功した。
 しかし、当時のままと言うわけにも行かず、集中は途切れた。
 縄張りに侵入した外敵に対してグリフォンと言うのは極めて獰猛なのである。うなり声を上げながら飛び掛ってくるグリフォンを相手に、私は逃げるしかなかった。
 地形を利用し山肌から飛び降りるように移動する、しかし相手はグリフォンだ。空を飛べる狩人に対して地面を走って逃げるなどと言うのは無理な話なのである。
 私の狙いはほんの一瞬であれグリフォンの視界から消えて、もう一度気配を断つことにあった。
 一瞬の油断――
 勘が鈍っていたのか、あるいは運が悪かったのか、足場にした岩場が崩れた。
 体勢を崩したところにグリフォンの放つ衝撃波を受け、私は岩場から転落した。
 落ちたときに足をくじいたのか立ち上がれないままの私の前に立ちはだかるグリフォン。向けられた嘴が私の腹部に向かって突き出される。
 とっさに顔を背けた私に来るであろう衝撃は、なかなかやってこなかった。
 変わりにやってきたのは液体の降りかかる感触と、生臭い鉄錆の匂いだった。
 何があったのかと顔を上げれば、そこには見覚えのあるウォリアーが立ちふさがっていた。構えている鮮やかな曲線の両手斧は血に濡れて光っている。
そしてその先には首から先が消失したグリフォンが居て・・・ほど無くして地面に倒れふしたのだった。
「こんな危険地帯を一人歩きは感心しないぞ?」
「イル・・・フリートさん?」
「おう、久しぶりだな」
 とりあえず助かったことの安堵よりも前に、血に濡れてしまった服のほうの心配をしてしまうあたり、私は危機感が薄いのかもしれない。
 近くの水場で血を洗い流しながら話したところによると、彼はグリフォンを狩りに来たのだという。何でも同じ部隊のソーサラーが唐突にも「ステーキが食べたい」とのたまったのだとか。
 それをあっさり承諾してステーキ用のグリフォン肉をとりに来る彼も相当のものだなと思う。良ければ一緒にどうだ?という誘いを受けて、相伴に預かることにした。

「おーい、獲ってきたぞー」
 大きな袋を引きずりながら手を振るイルフリートに対して、迎えるのは三人。その誰もに見覚えがあって私は困惑した。
「お帰り、イル兄・・・あれ?」
「おお、大猟ですね・・・と、そちらは・・・・・・・・お久しぶりですね」
「あれ?歌雪さんじゃん、久しぶり」
「なんだ、お前ら知り合いか?」
 思わぬ再会に戸惑いながらもぎこちない笑顔を作る。
「あはは・・・おひさしぶりです」
 一人は首都でぶつかって出会い、二人はとある山脈で偶然知り合った。この三人がまさか彼と同じ部隊の仲間だったとは、世間は案外狭いものである。
 もっともそのおかげか、その日の夕食は笑いの絶えない楽しい晩餐となった。
 ステーキに舌鼓をうち、帰る時に大量のグリフォンの羽をもらい、当初の目的を達成して帰路に着いた。

 家に着くのはすっかり遅くなって、すでに日付が変わろうとする時間だった。闇に完全に染まった街は人の住処であるというのに不気味に染まる。
 家の前まで来たところで、私は人の気配に気付き足を止めた。
「そこに居るのは誰かしら、私に何か用?」
 しばらくの間、返事は無かった。
「気配は殺していたつもりだけど、腕は鈍っていないようね」
「あいにくと、そんな露骨な視線を送られたらイヤでも気が付くわ」
 右手が警戒するかのように短剣の柄を握る。
「ふふ、流石は『春雪』ね」
 その一言で、相手が誰なのかわかってしまった。
「・・・その名前は十年も前に捨てたわ」
 家のドアを空け、私は逃げ込むように中に入ると即座に鍵をかけてその出来事を忘れることにした。
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