主に小説の更新を中心に、日々の事やゲームの事を綴っています。
スポンサーサイト

-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑

歌雪の手記 十話~連合王国~

2008-09-28 Sun 00:26
 カセドリアは連合王国という、小さな国家の集まりだ。
 それゆえに、一頭による管理統治でないというのがこの国の最大の弱点である。
 指導者が多すぎるのだ。
 そも、諸国の王はティファリス聖女王が王位につくときに、王位返還を由としなかった。理由は明白だ。権力を手放したくなかったのだ。

 結果としてカセドリア連合王国は王の上に新しい権力の地位を作った。
 それが聖女王。現在のカセドリア連合王国の盟主であるティファリスの座る地位。
 しかし結果としてこれはカセドリアを統治という方向に導くことはなかった。
 ティファリスが世間知らずであったことも問題ではあるだろう、諸国の王が権力にこだわっているのも、カセドリアを一つの国家として完成させない原因であると思う。
 その結果として悲劇の主人公となってしまうのが、何の罪もない国民と、幼い子供たちなのだから。
 ずくり、と頭が痛む。大事なことを忘れている、私はなぜ立ち止まってしまったのだと頭のどこかで叫んでいる。私は一体なにを忘れたのだろう。
 それは何か、約束ではないけれど大事な目標だったような気がするのに。
 私の持ってきた食べ物にがっついている子供たちを前に、自分の無力感を感じずには居られない。所詮、この行為も偽善なのだろう。
 自分がこの子たちを見捨てたという事実を作りたくないから、こんなことをしてしまうのだ。どうせ今日が過ぎればこの子達は同じことを繰り返して生きていくしかないのだから。
『私の夢はね―――』
 レイリアの声が聞こえた。それは遠い記憶、私が大切なものとしていたかけがえのないものだった気がする。
 あぁ、そうだ。私はこの記憶を思い出さなくてはいけないんだ。
 クルトから聞いた、レイリアから私への最後の言葉。
『自分の信じる生き方を、望むように生きなさい。貴女ならきっと、なんだって出来るから』
 それがレイリアの最後の望みだというのなら、それだけは決してたがえてはいけない。そしてレイリアは私がこんな風にくすぶっていることを由としないだろう。
 だというのに――
 私は、いまだに迷子の子供のままだった。
「ねぇ、今の生活は・・・つらい?」
 なにを聞いているのだ。つらくないわけがないだろうに。
「つらいとか、苦しいとか良くわかんないけど・・・妹がいるんだ」
 ベーコンをかじりながら、ボクを買ってくれと言った少年は言う。
「父さんも母さんも死んじゃったから、ぼくが守らないと」
『貴女は――私が守ってあげる』
 また――幻聴。
 あの時、レイリアが言った言葉は、誓いの言葉はなんだっただろうか・・・。
『私は――――なんて言わない、貴女みたいな境遇の子が―――ければそれでいいわ、きっとそうなると信じてる』
 あぁ、そうだった。私は、こんな大事なことをどうして忘れていたんだろう。
「ごめんね、私もう行かないと」
 そういって、私は救えない子供たちの前をあとにした。
 私がするべきことは、出来ることはもっとほかにある。

 自宅に戻った私はしまいこんでいた当時愛用していた短剣を取り出す。
 ずいぶん古びてしまったが、直るだろうか・・・。
 当時常連だった鍛冶師は、今も健在のはずだった。非常時のたくわえだったリングを纏めた袋を持って、私は夜の街を駆け出していた。迷いはもう、ない。
 こんな私をレイリアは許してくれるだろうか・・・。
 鍛冶師のところで、クルトと鉢合わせしてしまった。
「・・・歌雪」
 どんな顔をすればいいのか、正直わからなかった。けれど立ち止まらないと決めた以上遅かれ早かれこうなる。なら今伝えてしまおう
「クルト、私はもう一度前線にでるわ」
スポンサーサイト
別窓 | 小説・ノベル | コメント:0 | トラックバック:0 | top↑

<<歌雪の手記 最終話~過去と現在、そして望む未来~ | 蒼月雪歌の活動録 | 心臓発作>>
この記事のコメント
コメントの投稿
 
 
 
 
 
 
  管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL


FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
| 蒼月雪歌の活動録 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。