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イグドラシルの継承者~過去編6~

2008-06-21 Sat 11:04
 空中で擬似的に構築された灼熱の隕石が動けぬ国王をめがけて打ち出される。隕石の余りの高熱で世界がゆがむ、その中を、一陣の矢が貫いた。
 7つの隕石が7本の矢に貫かれ、砕け散る。
 構成をジャマされた隕石は塵となり消え去る。ノルンはその光景を見て戦慄した。こんな事が出来るのは、グラストヘイムの精鋭の中でも一人しか居ない。
「シャルフィアか・・・おせぇぜ?」
「貴様・・・国王になにをしている!」
「なにをしてるも何も、期待の新作を披露してやっただけだぜぇ? もっとも、その身で味わってもらったがな?」
 ドガガガガガッ
 大量の矢が降り注ぐのを予測していたのかひょいとそれを避けると氷付けの国王を盾にする。シャルフィアの矢を弓に番える手が止まった。
「弓矢ってのは難儀なもんだよなぁ? 目の前にある遮蔽物一つで何も出来なくなっちまう。笑えた代物だぜ、本当によ」
 ノルンが手をかざす。それだけで、五つの原初の魔力の塊が生成されシャルフィアに襲い掛かった。
 唯の一撃、それだけでシャルフィアは膝をついた。想像以上の威力に愕然とする。
だめだ、屈するわけにはいかない。
 ここで奴を野放しにすれば更なる悲劇が起こるだろう。それだけはなんとしても防がなければ。気力を全て振り絞り立ち上がるのと、国王と目が合うのは同時だった。
 ワシごと貫け。
 目がそう言っていた。確かに、それ以外に方法は無い。シャルフィアは覚悟を決めて立ち上がり、限界まで弓を引き絞った。
 それを見てノルンがにやりと笑う。自分の圧倒的優位は揺るがないと確信し、大規模魔法の詠唱を開始した。
 シャルフィアにしてみれば、国王ごと貫く選択肢などなかった。しかし、国王の覚悟を前に、針の穴を通す決意を固めたに過ぎない。
 氷柱の、国王の体の隙間を狙い、ノルンの急所を狙う。一度しかないチャンスで確実に成功させるべく、シャルフィアは唯目標に集中した。
 ノルンの詠唱が終わる一瞬前に、限界点を超えて引き絞られた弓が開放された。一瞬の閃光は国王の居る氷柱を貫き、ノルンの喉を穿った。
 即死には至らなかったのか、大量の血を撒き散らしながら床をのた打ち回るノルンに対し、再び矢を引き絞る。国王に手を出したこと、それを許すことは出来ない。
 このまま、引導を渡す。
 再び放たれた矢は、ノルンの頭を穿ち、そのまま大理石の床に突き刺さった。
 ノルンがぴくりとも動かなくなったのを確認してシャルフィアは国王の下へと走った。おそらく、もう助からない。理性がそう告げるのを、感情は必死に拒絶していた。
「国王っ!遅くなって申し訳ありません!」
 何とかして氷柱から国王を解放しようとする。しかし、術者が死んだにもかかわらず標柱はまるで水晶のような硬さを保っていた。
「よい、こうなることはうすうす感じておった。しかし・・・封印を施すには早まったかもしれんな・・・」
「封印、ですか?」
「うむ、イグドラシルの根へと通じる道だ、今は・・・リーシアとユリアが魔物を追っておる・・・もう少し、はやければ・・・お主にも・・・・後を追ってもらったのだがな・・・」
 途切れ途切れになる国王の声に、すでに時間がほとんど残されていないことを感じつつ、必死に気丈さを保つ。
「あの二人なら大丈夫です、必ずや世界樹を守ってくれるでしょう。だから心配なさらないでください」
「・・・うむ、そうじゃな・・・シャルフィア・・・お主は、民を率いて落ち延びるのじゃ」
 その言葉を、遺言としてシャルフィアは静かに聴く事にした。おそらく、それが国王の最後の望みであるからだ。
「この国を立て直すことはもう出来まい・・・。ここより南に・・・もっと平和な地域があるはずじゃ・・・そこへ行って、新たな国を作り・・・イグドラシルを守る志を持った・・・若者を・・・我らの・・・遺志を・・・つい・・・で・・・」
 王が事切れてから、シャルフィアは泣いた。唯ひたすらに敬愛し、尊敬できる、父のような存在がいま、居なくなったことに涙をこぼした。
 数分の間、謁見の間に嗚咽の声が響いたが、それもすぐに消えた。弓を携えて、国王の形見一つを手に、シャルフィアは城下町へと駆け出していた。

「隊列を乱すな! 一般人の非難を最優先、魔物は一匹たりとも通すな!」
 空を劈くような大声で指示が飛ぶ。火の手の上がる戦場の最前線を支えるのは白銀色に輝く鎧を身に纏った聖騎士団だった。神の自愛を体現するプリーストと対を成す存在、それが聖騎士団である。クルセイダーとモンクによって構成された部隊は魔物の軍勢を見事に抑えていた。しかし、それは唯の拮抗ではない。
消耗戦だった。
 魔物の軍勢を前に、聖騎士団は徐々に後退を余儀なくされていた。際限なく続く魔物の軍勢は聖騎士団の防御力を突破しようとしていたのだ。
 このままでは半刻と持たない、そう確信したアレスは隣で戦況を見守る黒装束の男に目をやる。戦況の流れを見て、動くときを唯ひたすらに待つ。
「まだか、刻。これ以上は・・・耐え切れんぞ」
「まだだ、あと少し・・・あと少しで我々の手勢が潜り込み終わる。それまで耐えてくれ」
「指揮のためとはいえ、前線に出れんのが歯がゆくてならん」
「それは俺も同じだ。だが、部下を信じて任せるしかあるまい」
 ぎりぎりと握られた刻の拳から血が滴り落ちていた。歯がゆいのはお互い同じ、ならば・・・耐えなくてはならなかった。
「よし、潜入が完了した。アレス、行動を開始する」
「全軍! 霍乱陣形をとれ! 共闘開始だっ!」
 同時、敵軍の中で血吹雪が舞った。魔物の軍勢の中に潜入し終えた隠密活動部隊がいっせいに行動を開始した。魔物の軍勢は突如現れたアサシンたちを前に、混乱に陥った。
 同時に、後方で待機していた弓手隊と、魔術師隊が攻撃を開始した。
 戦争はさらなる激化を始めた。

「敵戦力は全て場内に進入、特に目的もなく破壊を繰り返しているみたいね・・・」
 バガンッ
 派手な音を立てながら崩れ落ちる鎧兵、レイドリックを見ながらぶつぶつとつぶやくのは騎士が操るペコペコの後ろに乗っているセージの女性だった。
「おいスノウ、のんきに状況分析してる状態じゃねぇぞ?」
 ペコペコの手綱を操りながら城下町を走り回る。何匹もの魔物が邪魔をするが、それをことごとく騎士は槍によってなぎ倒していた。
「ローズ、騎士たるものもう少し大きく構えなさい」
「ローズは止めろ! 女みたいな愛称で呼ぶな!」
 ローズと呼ばれた騎士は再び迫り来るレイドリックを槍で貫く。ずごんっ、という音を立てて槍がレイドリックを貫く。がらがらと崩れ落ちるのを確認してから、再び手綱を引っ張る。意志を読み取ったペコペコは主人の考えたままに裏道に駆け込む。
「やっぱり、奴ら陽動ね。本体は今頃中央から目的の場所に到達してるかも」
「・・・じゃあ、どうする? 中央に援軍にいくか・・・それともこのまま撤退するかだが」
「撤退、かな・・・中央は三強が向かってるし、任せても大丈夫だと思う。いまさら行っても間に合わないかも知れないしね、さっき中央のほうから強い封印の波動を感じたから」
 スノウがそう判断するや否や、ローズは手綱を強く引いた。ペコペコが脱出するべく北東へと続く大通りに出た瞬間、二人は絶望した。
 何百という魔物の軍勢が、大通りを占拠していたのだ。
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