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イグドラシルの継承者~過去編 4~

2008-06-12 Thu 11:24
「私も・・・そう思います」
 沈黙を思わぬ方向に破ったのはほかならぬレイシアだった。
「以前から感じていました。光を求めていないのではないか、と。彼が魔法にこめる意志は、邪悪なもののように感じます。しかし確証がない」
「そのとおり。確証があるのなら追放するか地下牢に封印すればそれで済むわ。けど、そのいかなる処置も出来ないほどに、彼は狡猾と思う。おそらく王も、どうするべきか決めかねているのだと思うわ、だからこそうかつな人を誘うことが出来ないのよ」
「えぇ、ノルンはもともと研究室からほとんど出ないし、実権はほぼ私に任されています。お受けしましょう、この話。私に出来るかどうか定かではありませんが」
 レイシアの快諾を受け、私たちはその場を後にした。出だしは順調に思えた。

「クックック、ずいぶんとひどい言われようだなぁ、えぇ? ユリア、リーシア、それに・・・レイシアぁ?」
 陰鬱な笑い声を上げながら、王城の地下にある専用の研究施設でノルンは一部始終を見ていた。彼はすでに使い魔を使役し遠隔地の音声を聞く術を手に入れていたのだ。
 結果として、彼女たちの会話は全て筒抜けだった。
「イグドラシルの守護、そして一年後の人魔大戦・・・くっくく、楽しみじゃねぇか?」
 笑いながらメモを取りつつ、今後どうするのかを確定する。
 レイシアを事故に見せかけて殺してやろうか?
 それとも、研究施設の奥に作った隠し部屋で慰み者にしてやろうか?
 いや、あそこまで言われたなら、期待に答えてやらなきゃぁなるまい。
「地獄を見せてやるぜ、くくっく・・・くっはははははははは!!!」

 思えば、一年前が遠い昔のように思える。
 たった一年、しかしこの一年は今まで生きてきた十八年よりもずっと濃密な時間だった。 
一年、 隣に居た人は今は居ない。
 私は使い慣れた鞭を取り出すと、目前に見えていた黒騎士へと一気に間合いを詰めた。
「Arrow・・・・・・Vulcan!!」
 腰の矢筒から取り出した10本の矢を、私は鞭だけで黒騎士へむけて打ち出した。弓から放たれるものとは本質的に異なる威力のそれは容赦の無い破壊力を持って黒騎士に襲い掛かる。
 黒騎士が身の丈を超える大剣を振り上げた。
 豪、という風を引き千切るような音と共に、私が放った弓はことごとく粉砕された。
 そこで、それまで疾走してきた足を止める。ようやく、追いついた。
「娘、このまま帰るならば命は奪わん。しかし我の邪魔をしようというのなら、その体を叩き潰すぞ」
「あいにくと、はいそうですかと引き下がるわけには行かない。ギルド、イグドラシルの継承者マスター、リーシア・デュセンバーグとして、グラストヘイム宮廷近衛騎士団団長として!」
「・・・ならば仕方あるまい。人の身に生まれた無力さを呪って死ぬがいい!」
 豪、と巨大な大剣が振り下ろされる。人の身では決して扱うことも出来ないであろうそれは、いともたやすく私の命を奪うだけの威力を秘めている。
 私は剣の軌道を予測し、なれた足つきでそれを回避する。踊り子の足裁きは流れるように滑らかな動きだ。それを利用すれば攻撃の回避をそのまま次の攻撃へつなぐことなど造作も無い。すさまじい破壊力の大剣がイグドラシルの根を容赦なく破壊する。その横をすり抜け背後を取ると私は黒騎士の首筋めがけて鞭を一線した。
 分厚い鎧を着た騎士に鞭は通用しない。それ故に鎧のつなぎ目や足を狙うなどのからめ手を必要とする。そのことは聖騎士団団長であるアレスとの手合わせのときに嫌というほど確認した事実だった。
 いつの日か、鎧すらも寸断する鋭い鞭による攻撃をと目標にしてきたがそれは達成されることなく大戦の日が来てしまったのだ。
 黒騎士が体勢を少しだけ変える。それだけで私の狙いはそれ硬い兜を撃つにとどまった。私の武器による特性、弱点を黒騎士は一目で看破していたのだ。
 状況は圧倒的不利。それでも退くわけにはいかない。
「無駄だ、貴様の鞭では我が鎧は砕けぬ」
「言ってなさい、すぐにその余裕を焦りに変えてあげるわ!」
 黒騎士の弱点、それは行動の遅さだ。あまりにも巨大な大剣ゆえに、一撃が終わってからの次の動作に移るまでの時間、それが決定的な隙だ。
 次の動作、それを境に攻守は逆転する。私はそう確信してた。
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